地球ゴルフ倶楽部が目指すもの
1994年、9人のゴルファーは夏坂先生とともに地球規模で世界に通用するゴルファーを目指すという志(こころざし)のもと「地球ゴルフ倶楽部」を設立した。
モットーは「もっと楽しくもっと正しく」である。
私たちは夏坂先生の著作から次の2点を学んできた。「自分に有利に振舞わない」「あるがままにプレーする」。箱根の仙石ゴルフコースで開催された第1回総会コンペにおいて「もっと楽しくもっと正しく」の思想がコースに充満し、キャディーさんより今日は神奈川アマチュア選手権の予選かといわしめたほどである。これは我々の誇りであり、今でも初期メンバーの心に夏坂先生とともに深く刻まれている。
先生がなくなられてから入会した会員も多くなった今、先生と直接交流できなかった会員の皆様には先生が残してくれた著作を熟読していただく他はない。なぜなら先生は事ある毎に「自分は先が短いので、メッセージとしてできるだけ多くの著作を残しておくので君達はこれを読んで欲しい」と何度も何度もおっしゃっていたからである。
この10数年の間、利害目的やただゴルフプレーがしたいだけで入会した会員は永続きしていない。
ただ残念なことは、最近退会される会員の理由が、歳をとってゴルフができなくなったとか腰が悪いからとかいう事である。これは、私たち運営メンバーも大いに反省するところである。「ゴルフはどの方向からでも良し、ミケランジェロの彫刻に近づくようにゴルフの門を叩いて欲しい。ゴルフ史でも良し、道具、ファッション・・・、ゴルフというゲームは、玉打ち自体からして異常に面白いが、さらにもう一歩踏み込んで歴史とエスプリを齧っていただくと信じられないことにゴルファーとしての質の変化が生じるということである。」私も約7年程クラブを置いていた時期があり、その時出会ったのは摂津茂和さんの著作であり、もちろん、ゴルフダイジェストに掲載されていた「アームチェア・ゴルファー」である。読むゴルフの世界を確立した夏坂先生からゴルフのエスプリを大いに学び、楽しませていただいた。夏坂先生からいただいた手紙の中にこういう一文があったので御紹介したい。“半年も闘病生活をしていると、夢に見るのはゴルフのシーンばかり。決別したタバコも、ご無沙汰続きの外国の景色も夢に現れることなく、ひたすらゴルフの情景ばかりが登場してうなされます。これほどまでに恋い焦がれるとは自分でも意外でした。離れてみるに従って、ゴルフはますます素敵なゲームに昇華します。”
地球ゴルフセミナーだけでなく、クラブを置いてももっと楽しくもっと正しく過ごせるそんな地球ゴルフ倶楽部になりたいと、思いはつのるばかりである。夏坂先生の主張は簡潔で明快だ。毎年ひとつづつ努力目標を決めて守ってみようではないかと。1996年には「自分の痕跡を残さない」を目標に掲げた。ディボット跡の修復、バンカーの足場ならし、グリーン上のピッチマークの修復といった当たり前の行為を指すが、実はこうした基本的なマナーが守られていないのが現状だ。さらにコースに落ちているごみも拾いたい。これらのことは、第一義に守られてきたゴルフの精神のひとつが、他人に迷惑をかけないことだからである。
毎年1つの努力目標を決めて守るこのことすら私自身も忘れてしまっていたことで、大いに反省しないといけない。私達地球ゴルフ倶楽部のメンバーは数をたのんで何かを始めようとするものではない。一人づつがゴルフの本質を理解し、正しいプレーのノウハウを学び、同じ価値観を持つ者同士、大いに交流を深めていくことが倶楽部の目的なのだ。
地球ゴルフ倶楽部のメンバーは夏坂先生の意志を継承し「ゴルフに恩返し」をする精神をもったゴルファーである。クラブを置いても一生地球ゴルフ倶楽部の仲間とゴルフを楽しみたいといわれるような倶楽部作りを目指したいものだ。
2008年6月1日
地球ゴルフ倶楽部プレジデント 清水克之輔
地球ゴルフ倶楽部憲章
- たとえローカルルールで認められようとも、私たちはカジュアル・ウォーター以外、「ノータッチ」を誇りとする。当倶楽部ではローカルルールを「いなかルール」と訳す。
- 一度ティーアップしたボールの終点はカップの底以外にない。ゲームは一本の糸と同じ、途中でボールに触れる行為は糸の切断を意味する。従ってボールに触れたスコアはニセ物と考える。
- 他人のパッティングの邪魔にならない限り、グリーン上のマークは不要と考える。みだりに行うマークこそスロープレーの元凶、プロの真似は見苦しいからやめよう。
- 「OK」は世界の恥。マッチプレーにおける「コンシード」「ギミー」以外、カップに向かって正しくホールアウトする。
- 他人に迷惑をかけないのもゴルフの精神の一つ。自分のプレーの痕跡を残してはならない。
- 勝ったゲームでは沈黙を守る。負けたときはには練習に励む。ショットとスコアーの自慢話ほど聞き苦しいものはない。
- すべての人から「もう一度一緒にプレーしたい」と言われるゴルファーになりたい。「あいつとは二度とゴメンだ」と思われた瞬間、すべての苦労が水泡に帰して人生が終わる。
- 「地球ゴルフ倶楽部」の会員は、全ゴルファーのお手本でありたい。
1997.4.1.制定